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晴れて恋人同士になれた二人のいちゃいちゃらぶらぶストーリーです♪

Brand New Days2~素敵な明日をあなたと~
サークル名:螺旋の月
販売日:2021年12月12日
シリーズ名:Brand New Days
カップリング:冨○義勇×胡○しのぶ / 
作者:飛牙マサラ
イラスト:石神たまき
年齢指定:R18 / 
作品形式:ノベル / 
ファイル形式:JPEG / PDF同梱 / 
その他:乙女向け / 
ジャンル:ラブラブ/あまあま / ほのぼの / 恋人同士 / 純愛 / 
ファイル容量:

DLsite価格:825円DLsiteで購入する

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作品概要(引用元:DLsite.com)

「宇髄さん、じゃない宇髄先生とお話ししてたんですか」
 既に冨○家の恒例と化しているしのぶの週末の来訪ではあるが、今日は何処か落ち着かない気分だった。
 彼女が来ること自体は嬉しいことだし、歓迎もしている。
 では何故そうなのか。昼間の出来事のせいであるのは言うまでもない。
「……まあな」
「それでどんな話をされたんですか?」
 台所仕事をしながら、しのぶが暢気に尋ねる。いつもならば手伝うのだが、昼間の話の内容を思い出すとどうにも彼女に迂(う)闊(かつ)に近寄るのは躊躇われた。
「言いづらい……」
「気になるんですけど」
 義勇にももしかして友人というものが出来たのではないかと思ったので、しのぶとしては是非とも聞きたかった。
「……」
 どう言えばいいのやらと考え倦(あぐ)ねるが、答えは出ない。
「お前が多分呆れる、というか怒る……」
「呆れる? 怒る? どうしてですか?」
「……その、宇髄がくれたものがあってだな」
「? 何か貰ったんですか?」
 料理が一区切りしたので、不思議そうな顔をしてしのぶが彼の傍にやって来る。
「いったい何を貰ったんですか?」
「……」
 思わず頭を抱えつつ、静かに箱を取り出した。
 結局あの時、仕舞う場所はジャージのポケットくらいしかなく、誰にも不審に思われぬよう足早に職員室に戻ると素早くリュックに入れ、一息ついた。ふと顔を上げるとニヤニヤ笑っている天○がいたが、敢えて無視をした。
「これを貰った……」
 言えたのはただそれだけで、気の利いた物言いなどやはり出来ない。
 箱……? 
 何かやけに派手ですねと思いながら手に取ってみる。そしてそれが何かと認識した途端、顔から火が出る思いだったが、ひとまず元の位置にそっと戻した。
「そ、そうですか」
 もう! 宇髄さんは何考えてるんですか! 幾ら何でもこんな物を……
 どう答えればいいのか悩みつつ、瞬間、しのぶは一つの事実に気が付く。
「ちょっと待ってください! 義勇さん、もしかして我慢してるんですか?」
 彼の顔を覗き込むようにして、そう尋ねた。
「……いや、それは」
 誤魔化した方がいいとは思うが、破滅的に義勇はそれが出来ない。何しろ事実だから。
「本音が聞きたいです」
「……」
 無言であることは肯定なのだとしのぶは理解する。
「つまり我慢してるんですね」
「……まあ、そうなる」
 そう言う他ない義勇は頭を抱える。もう少しまともな物言いがあるかと悩んだものの、他に浮かぶ言葉はなかった。
 一方のしのぶは神妙な顔になり、何か考えているらしく無言になる。暫く時間が経った後に、
「……ちょっと待っていてください」
 そう言うとスマホを取り出し、何やらしている。どうやら誰かに連絡を取っている風に見えた。その後に更にいじっていたが、不意に義勇の方へと振り返る。
「はい、連絡は終わりました。お泊まり決定です」
 そう言うとしのぶは鞄の奥にスマホを仕舞い込んだ。
「おい、胡○姉が許すわけないだろうが?!」
「許すも許さないもないです。もうお泊まりしますって送っちゃいましたし。取り消し不可能です」
 さっきのはそれか!
「いや、だからそれは不味いだろう?」
「いえ、もうスマホの電源も切っちゃいました」
「……しのぶ」
「はい、義勇さん。言っておきますが、私は帰りませんからね。あ、義勇さんのケータイください」
「……どうする気だ?」
 そう尋ねながらも素直にそのまま自分のケータイをしのぶに渡す。日頃、携帯そのものに執着があまりないので彼にしてみればそれは当然の仕草なのだが、この場合、考えがなさ過ぎた。
「当然、電源切ります。姉さんから義勇さんにも電話が来るかも知れないですし」
「しのぶ、気持ちは嬉しいが……」
 慌てて返すように促すが、少女は返そうとはしない。それどころかさっさと電源を落としてしまう始末。
「しのぶ」
 流石に咎めようとすると、彼女が頬を赤らめながら言った。こうやって毎週やって来ては義勇にとって最高の定番メニューである鮭大根を作ってくれる。
 実にいつも旨い。作ってくれるだけで有り難いが、それでもやはり欲は出る。
「……次はしのぶの好物を食ってみたいな。確か生姜の佃煮だったな」
 そう呟いてみれば、一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに返事が返ってくる。
「じゃあ来週はそうしますね」
 義勇さんからリクエストなんてはじめてですよね。しかも私の好物を食べたい、ですか。
 その上、私の好物まで覚えていてくれて……嬉しい。
「……頼む」
「うふふ、それじゃあ、来週はしのぶさんの好物フルコースを楽しみにしててくださいね」
「……ああ」
「さ、ご飯にしましょう」
「分かった」
 あっという間にいつもの風景だ。それが心地いい。
 知っているだろうか、お前のいない日の寂しさを。そんな気持ちなど以前は微塵も感じたこともなかったというのに。
「お味はいかがですか?」
「旨い」
 いつものように彼が答えると彼女は常に花のように微笑い返してくれる、それがとても嬉しくて堪らない。
 こんな世界があるとは思わなかった。
 何しろ彼は来世があるとも信じてはいなかったのだ――しのぶと約束を交わす前までは。
 その約束があったからここにいるのか、前世の絆があったからなのか、それは分からない。
 だが、一つだけ分かることがある。
 この世界が夢ではないと言うこと、それは何よりも大切な事実だった。
「おかわりしますか?」
「ああ、頼む」
 週に一度の晩餐が今日も平和に過ぎゆく……一抹の不安を残しながら。

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