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人気女形役者と彼の着付けを担当する衣裳方のラブストーリー・

サークル名:カラマワリ
販売日:2020年04月24日
シリーズ名:光の夜闇の朝
カップリング:白澤×加々知 / 
作者:江崎広海
年齢指定:18禁 / 
作品形式:ノベル / 
ファイル形式:PDF / 
その他:ボーイズラブ / 
ジャンル:ラブラブ/あまあま / 日常/生活 / 恋人同士 / 
ファイル容量:

価格:440円 >>>>>購入する

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作品概要(引用元:DLsite.com)

シリーズ四冊目。
攻様の浮気相手の女性に受様が誘惑されます。演後の喧騒の中、加々知は白澤の楽屋の前で白澤の戻りを待っていた。床山部屋で鬘を取った後羽二重姿の白澤が楽屋に戻って来る。暖簾を上げて迎えるのは加々知の仕事である。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様」
白澤は機嫌良く頷くと楽屋の中に入って行く。それを加々知と桃太郎が追い掛けた。加々知が大きく結ばれた白澤の帯を解くと、すとんと帯が床に落ちた。それを桃太郎が器用に拾って脇に避ける。白澤が腰紐を解くと加々知が肩から振袖を落とす。豪華な振袖がとすんと床に落ちる。それをまた桃太郎が拾って脇に避ける。これを繰り返して漸く白澤は下履き一枚になった。
加々知に着せ掛けられる楽屋浴衣に袖を通しながら、白澤は加々知を振り返った。
「今日は大事なお客さんが来てるから」
「はい」
劇場では二人は殆ど会話する事は無い。週刊誌に記事が出て以来周囲の目を慮るのもあったが、仕事をする上で必要最小限の言葉以外は二人のルーティンには会話は必要無かったからだ。
白澤に浴衣を着せ付けた後、脱ぎ捨てられた衣裳を集めて風呂敷で包むと風呂敷を担いで立ち上がった。
「では、私はこれで。お疲れ様でした」
「お疲れ様。来週もよろしくね」
にこりと笑って頷くと、白澤は双肌を脱いでコールドクリームで白粉を落とし始めた。ざっとメイクを落としたら劇場の浴室でシャワーを浴びる。
加々知は重い衣裳の入った風呂敷を軽々と担ぐと一礼して楽屋を後にした。
明日は休演日である。いつもなら加々知が白澤のマンションに泊まって休日を一緒に過ごす。先刻白澤は加々知に今日は大事なお客さんが来ていると言った。今夜は遅くなる、又は帰らないと言うことであった。
衣裳部屋に戻って衣裳のメンテナンスをしたり、洗濯をしたりと休演日前の仕込みを忙しくこなしていた。役者の大部屋から衣装部屋に帰る途中、楽屋の廊下で加々知は小柄な金髪のショートカットの女性とすれ違った。
すれ違い様に金髪の女性が声を上げた。
「あら、あなた、私知っているわ」
思わず立ち止まる。相手の顔をまじまじと見てみたが、覚えはなかった。
「私、リリス。あなたの恋人のクライアントよ」
そう言うとリリスは婀娜めいた仕草で花のように笑った。
「雑誌であなたと彼の熱烈な写真見ちゃった」
「それはどうも」
突然の事でどう反応したものかと躊躇する。取り敢えず当たり障りの無い返答をして、相手の出方を窺った。
「あの人に私のブランドの広告をお願いしてるの。フロムリリスのコスメって知らないかしら?」
白澤がやっている化粧品の広告なら知っている。男だてらに女性向け化粧品のメインモデルに選ばれて話題になった広告である。加々知も何回かCMやポスターを見た事があった。
「白澤さんの化粧品の広告なら拝見した事があります」
「あら、嬉しいわ。私、そのブランドのオーナーなの」
「そのオーナーさんが私に何の御用でしょうか? 白澤さんなら今多分お風呂だと思います。もうすぐ帰ってらっしゃると思いますよ」
リリスはついと加々知との距離を詰めて微笑んだ。
「雑誌の写真見て、あなた可愛いなって興味を持ったの。お話してみたかったのよ」
「私と、ですか? なにも面白い事はありませんよ」
リリスの蠱惑的な笑みに気圧されるように、加々知は一歩身を引いた。この女性は危険だと本能が告げる。
「つれないのね。ますます興味が湧いたわ。あの記事は大変だったわね。私あの日、あの人と一緒だったのよ。素人さんに迷惑掛けたって、とても気に病んでいたわ」
「あの日? あの記事が出た日ですか? あの日白澤さんとご一緒だったんですか?」
胸がざわざわした。白澤が加々知の知らないボディソープの匂いをさせて帰って来た日だ。その日、この女性は白澤と一緒だったと言う。
「白澤さんとは親しくしてらっしゃるんですか」
「親しく……?」
リリスは加々知の問い掛けにちょっと首を傾げて見せた。
「そうね、とても仲良し」
鈴を転がすような声でそう言うと、加々知の顔を窺うように流し目を送った。
「気になる?」
「別になりません。御用が無いならまだ仕事中ですので、これで失礼します」
「あら、お仕事の邪魔しちゃったわね。ごめんなさい。今度またゆっくりお話しましょう?」
「機会がありましたら」
会釈して場を去ろうとした所へ、桃太郎が小走りに駆け寄って来た。
「あっ、リリスさん。白澤さん戻って来ました。楽屋へどうぞ」
「ありがとう。じゃあまたね。可愛い恋人さん」
リリスはひらひらと手を振りながら、桃太郎に伴われて楽屋の奥へと消えて行った。残された加々知は呆気に取られてリリスと桃太郎の後ろ姿を見送った。
綺麗な女性だった。誰もが振り返るような華やかな美貌だった。そして彼女から漂って来た壮絶な色気に圧倒された。白澤とは「仲良し」だと彼女は言った。多分そう言う事なのだろう。あの日の白澤の相手はまず間違いなく彼女だ。白澤の好みはああいうタイプなのかとぼんやり考える。   
後の仕をどうやって片付けたのかよく覚えていなかった。    気が付いたら白澤のマンションのエントランスだった。郵便受けを覗いて、数通のダイレクトメールを取り出した。オートロックを開いてエレベーターホールに入る。エレベーターに乗って白澤の部屋に辿り着いた。ダイニングテーブルの上に郵便物を放り出すと、キッチンに向かい換気扇の下で煙草に火をける。
ゆっくりと一服吸い込むと、暫く肺に煙を溜めてから吐き出した。紫煙が換気扇に吸い込まれて行く。換気扇の下には白澤が、加々知の為にと用意してくれた丸椅子が一脚置いてある。その椅子に腰を下ろす。シンクの隅に置いてある灰皿を手繰り寄せて灰を落とした。
白澤の相手が目の前に現れた位で動揺している自分が惨めだった。あの日の事はもう終わった事だ。自分では気持ちの整理が付いたつもりでいた。それがこの体たらくで笑ってしまう。
煙草では気持ちの昂りが冷えなかった。頭の中に霧が立ち込めたような気分だった。耐え兼ねて煙草の火を揉み消すと立ち上がり冷蔵庫の前に向かった。冷えた缶ビールを一本取り出して換気扇の前に戻る。椅子に座り直して缶のプルタブを引くと、ぐいとビールを呷った。キリリとした炭酸が喉を落ちて胃に向かうのを感じながら、先刻会ったリリスの姿を思い出す。
金髪のショートカット。黒いドレス。長い睫毛に縁取られた目。かたちの良い鼻。濡れた唇。小柄で華奢ながらメリハリの効いた肢体。美しく整えられた爪。何処を取っても申し分の無い美の権化のような女性だった。白澤と並んで立てばさぞや映える事であろう。白澤はどんな風に彼女と連れ立ち、彼女と話し、彼女を抱くのかと思いを馳せただけで憂鬱になる。二本目の煙草に火を着けた。今日に限ってニコチンは全く仕事をしてくれなかった。苛々する。ビールでは全く足りなかったので、早々に飲み干して、ダイニングのキャビネットから日本酒の瓶を持ち出した。コップに注いでぐいぐいと呷る。飲んでも飲んでも意識は明瞭で、感情は研ぎ澄まされて行くばかりだった。元来酒には強い方で泥酔する事などは滅多にない。今夜ばかりはそんな体質さえ恨めしかった。
スマホの画面を確認する。日付も変わった時刻だと言うのに、白澤からのメッセージも着信も無かった。きっと彼女と一緒なのだろう。
何杯目かの日本酒をコップに注ぐ。一気に呷る。もうとうに酔う事は諦めてしまったが、飲み続けることをやめる気にもならなかった。何より今夜あの広いベッドで一人で寝る気には到底ならなかった。
加々知は今夜八王子の自宅に帰らなかった事を心から後悔した。何度もスマホを確認するが、白澤からの着信は無いまま時間だけが過ぎて行く。今夜白澤は帰って来ないかもしれないと薄々感じ始めた。軽い絶望感に囚われてまた煙草に火を着ける。決して大きくは無い灰皿には吸殻が山になっていった。こんな夜をあと何回過ごさなくてはならないのかと考えてまた気が滅入る。今日封を切ったばかりの五合瓶はもう粗方空になってしまった。替りの酒をとも思ったが席を立つのも億劫だった。最後の一杯を飲み干した後焼け糞な気分でコンロ台の脇に突っ伏した。
白澤は彼女とどんな夜を過ごしてるいるのだろうと思いを馳せる。途端に腹が立って来て、立ち上がるとワインセラーを開けて覗き込んだ。白澤の取って置きのシャンパンが有ったはずだ。あれを空けてやろうと思い立つ。ずらりと並んだワインの中から、目当てのピンクのラベルが付いたシャンパンを見つけ出すと躊躇無くコルクを抜いた。食器棚からシャンパングラスを一つ取り出してシャンパンを注いだ。グラスの中のピンクの液体の中を綺麗な細かい泡が立っては消えて行く。
グラスに光るバカラの刻印を眺めながら、白澤がワイングラスを割って怪我をした夜のことを思い出した。あの日初めて恋人だと言われた。天にも登る程嬉しかったのを覚えている。あの日もあれから今までも、白澤は決して加々知一人だけのものになるとは約束してくれなかった。何度もそれを納得した上での現在だ。自分には帰って来ないかも知れない白澤を責める権利は無い。泡の立つシャンパンを一息に呷る。白澤の取って置きのシャンパンは流石に飲み口が良くすいすいと入った。
既に味などよく分からないが水を飲むように飲めてしまう。只酔いたくて飲み続けた。シャンパンの瓶が空になる頃には漸く意識が朦朧とし始めた。チャンポンしたのが功を奏したのであろう。気分が悪い。頭が痛くなって来る。猛烈な眠気に襲われて再びコンロ台に突っ伏した。「……がち? 加々知? どうしたの? こんな所で」 
聴き慣れた声で意識を引き戻される。
「白澤さん……、お帰りなさい」
もぞりと顔を上げて声のする方向を見上げた。
コンロ脇の惨状を目にして白澤が目を丸くする。
「ひとりで宅飲みしてたの? こんなにひとりで飲んだの? あ。ドンペリ空けちゃったんだ?」
空になったシャンパンのボトルを確認して白澤が乾いた笑みを浮かべる。
「誕生日にでも一緒に飲もうと思ってたのに」
「白澤さん」
見上げた先の見慣れた端正な顔に安堵して、もう一度コンロ台の脇に突っ伏す。
「気持ちが悪いです……」
「なぁに? 珍しいね。加々知が悪酔いするなんて」
「チャンポンしたのが悪かったみたいです。吐きそう……」
「トイレ行こうか。歩ける? 肩貸すから」
「大丈夫です。吐いたらシャンパンが勿体無い」
「じゃあ、とりあえずベッドに行こう? うつ伏せじゃ更に気分が悪くなる。横になった方が良い」
白澤は加々知の後ろから両脇に腕を差し込んで立ち上がらせると、背後から軽く抱きしめた。
「どうしたの。こんなになるまで飲むなんて。何か嫌なことでもあった?」
「いえ、嫌なことは無いです。ただ酔いたかっただけ」
ぐずぐずとぐずるような口調で答えながら、加々知は腰に回った白澤の腕をそっと握った。白澤が腕を緩め加々知の手に指を絡ませる。
「ごめんね。酔いたい夜に一緒に居てあげられなくて」
「別に私がひとりで飲んだくれてただけですから」
白澤は足取りの覚束ない加々知の腰を抱いて寝室まで連れて行った。とりあえずベッドに座らせる。
「ちょっと待ってて。今、水と何か薬持って来るから」
立ち去ろうとした白澤の袖を加々知が引く。
「なあに。ちょっと待っててね。直ぐ戻って来るから」
加々知の前髪にキスを落としてから、白澤は足早に寝室を後にした。リビングのキャビネットの引き出しを開けて常備薬を確認すると胃薬の小瓶を取り出す。キッチンで冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを一本取るとそのまま寝室へ引き返した。
白澤が戻ると加々知はベッドの上に仰向けでぐったりと横になっていた。その枕元に腰を下ろして声を掛ける。
「お待たせ。お水と胃薬持って来た。起きれる? 本当は吐いちゃった方が早く楽になるんだけど」
「起き上がれません……」
思いがけず口を突いた甘えた声に、自分でも驚きながら加々知は白澤を見上げた。何時もと変わらない端正な顔が其処に有って安心する。決して顔だけが好きなわけではないが、自分は結局この顔に滅法弱いのだ。
「起き上がれません。飲ませて下さい」
白澤は加々知の言葉に頬を緩めて笑うと、ペットボトルのキャップを捻った。
「加々知は時々突然甘えるね」
 言いながら瓶から胃薬を三錠掌に取り出すと指先で抓んで加々知の口元に差し出した。
「はい、口開けて」
言われた通りに素直に開かれた唇を割って口の中に錠剤を押し込む。そのまま、ペットボトルの水を一口含むと身を屈めて加々知の唇に唇を重ねた。タイミングを合わせて開かれた加々知の唇に水を流し込んでやる。最初はぎこちなかった口移しももう慣れたものである。加々知も器用に流し込まれた水を口に含むと薬と一緒に上手に飲み下した。加々知の喉が上下したのを確認して唇を離そうとした白澤の首が不意に引かれた。 
唇を合わせたまま加々知の舌が差し出されたので、流れに任せて迎え入れる。軽く吸い付いたら舌を絡められた。逆に絡め取られて吸い上げられる。互いに吸い付きながら深いキスを暫く続けた。漸くキスを解いて身体を離すと、白澤は拳で口元を拭いながら、もう片方の手で加々知の髪を掻き回した。
「おいたしてると益々気分が悪くなるよ?」
「あなたの顔を見たら、大分気分が良くなって来ました」
「いつもと立場が逆だから新鮮」
 くすくすと笑いながら白澤が加々知の頰を撫でる。
「しこたま酔って帰って来るのは、あなたの専売特許ですからね」
「今日は車だったから飲んで無いよ」
「食事だけにしては帰りが遅くないですか」
「仕事の話してたら、気付いたらこの時間だったの。ごめんね?」
 ざわり、と背中が騒いだ。仕事の話。あのリリスと名乗った女性は白澤のクライアントだと言った。朝まで積もる仕事の話もあったのかも知れない。
「リリスさんですか? あなたのクライアントの」
リリスの名前を出した途端、白澤の顔が微妙に固まったのを加々知は見逃さなかった。
「そう。リリスちゃんと食事してたの」
「そうでしょうね。今日はあなた、ボディソープもシャンプーも匂わなかったですから」
「でしょ? 仕事の話してただけだから」
「でも。朝まで女性と二人きりって言うのはあんまり褒められたものじゃないです」
務めて事務的に言葉にすると、一気に忘れ掛けていた感情が沸き起こって来る。頭が痛い。気分が悪い。感情は体調の不良に比例する。
「加々知、楽屋でリリスちゃんとお話してたでしょ。もしかして何か言われた?」
「軽く挑発されましたよ。あなたとは『とても仲良し』だって」
「ああ……!」
白澤が納得いったとばかりに声を上げた。
「彼女、他人の恋愛事情引っ掻き回して楽しむのが趣味なの。あんまり真に受けないで?」
「ちゃんと学習して、匂いも残さず、嘘も吐いてくれてるみたいですから、今日の所はそれで納得しておきます」
 一息に告げると軽く息を継いで続ける。
「前回の、記事が出た日のお相手は彼女ですよね?」
酔いも手伝ってすらすら言葉が出た。
「リリスちゃんに何言われたの?」
「『私あの日、あの人と一緒だったのよ』って挑発されました」
はああと白澤は大きな溜息を吐くと諦めたように肩を落とした。
「認めます。あの日は彼女と一緒でした」
「ああ言う小悪魔的な女性が好みなんですね」
「女の子はみんな好きだよ」
「まあ、いいです。相手が知れたからって、何が変わるわけでも無く」
頭が痛い。気持ちが悪い。会話するのが辛かった。
「もしかして、リリスちゃんに挑発されたショックで飲んでたの?」
「そう言う訳では無いです。あなたが気にすることでもありません。例えあなたが彼女を抱いて来た所で、私には文句を言う資格はありませんから」
 投げ槍にそう言うと、白澤から顔を背けるように寝返りを打った。
「資格が無いってどう言うこと? 恋人が浮気して帰ってきたら、充分怒る資格は有るでしょ」
「何度も納得した上で付き合ってます。私には怒る権利は有りませんよ」
気持ちが悪い。加々知は白澤にそっぽを向いたままベッドの上で丸くなる。ずきずきと頭が痛む。
権利とか資格とか他人行儀な単語に白澤の胸が騒いだ。そんな言葉で縛るために付き合っているわけではない。出来ることなら加々知がいつも心安らかに自分を待てるようにしてやりたいとは思った。でもどうすれば良いのか咄嗟には考えが纏まらなかった。
「白澤さん。頭痛薬も貰えませんか」
「痛み止めは気分が悪いのが治まってからね。今飲んでも吐いちゃうかもだし」
「わかりました」 
 短く答えると布団の中に潜り込む。きつく目を瞑って吐き気をやり過ごした。
「無理やりでも少し眠るといいよ。起きたら漢方用意しておくから。何か少し食べてから痛み止め飲もう」
「ひとりじゃ嫌です。添い寝して貰えませんか?」
 おや、と白澤は一瞬目を丸くして、それから綺麗に破顔して見せた。
「酔ってると素直だねえ。いいよ。一緒に寝よう」
白澤はシャツのボタンを緩め掛布団を捲るとするりと加々知の隣に身を滑り込ませた。背を向けたままの加々知の背中をやさしく抱きしめる。
「可哀そうに。こんなになるまで飲むなんて。僕のせいだね? ごめんね」
「白澤さんのせいじゃありません。自分が勝手に情緒不安定になっただけですよ」
 また白澤の心がざわざわと波打った。決して勝手に情緒不安定になった訳ではない。明らかに原因は自分だ。
「酔ってる時位本音出しても良いんだからね。リリスちゃんに嫉妬して、ひとりで飲んで胡麻化してた。そうでしょ?」
気持ちが悪いという胃の辺りをそっと撫でてやる。加々知が気持ち良さそうに喉を鳴らした。項に唇を押し付ける。ちゅっと音を立てて吸い上げた。唇を滑らせて耳元に辿り着く。耳朶にキスをして軽く歯を立てる。
「僕は加々知との約束を守る為に嘘を吐くかも知れないけど、加々知は嘘吐かなくて良いんだからね」
 耳の中に直接吹き込んでやれば、加々知が身動ぎをする。
「耳……、弱いんで止めて下さい」
 力無く抗議する加々知の声に構わず、耳の付け根に舌を這わせる。そのまま強く吸い付いて歯を立てると、ぱっと耳元に赤い花が咲いた。
「今日は、……、白澤さんの匂いがします……」
「ね? リリスちゃんとはご飯食べて話し込んでただけ。だから機嫌直して?」
「……あなたがそう言うならそれが真実です」
「うん。ありがとう」
 嘘を繰り返す事にちらりと罪悪感が生まれる。加々知の為の嘘だ。しかし加々知は事実に気付いている。この嘘に何の意味が有るのかと考えたら胸が痛くなった。
加々知は白澤の腕の中で寝返りを打つと、白澤の胸に顔を埋めた。背中を抱く白澤の腕に力が入る。相手の顔を覗き込めば視線がかち合って、どちらともなく唇を寄せ合った。押し付けるだけの軽いキスを数回繰り返して唇が離れる。白澤の規則正しい鼓動が肌から伝わって、それを聞いているうちに眠気がやって来た。髪を撫でられる感触が気持ち良い。軈て加々知はうとうとと眠りの淵に落ちて行った。
 加々知が寝息を立て始めたのを確認してから、白澤はそっとベッドを抜け出した。キッチンに向かうとコンロ台で加々知が空けた酒瓶を確認する。缶ビールが一本と、日本酒の五合瓶が一本。それにシャンパンが一本。普段の加々知なら別段酔い潰れるような量でもない。余程精神的な負担が大きかったのだろう。
改めて白澤は自分の業の深さを思い知った。リリスと食事をして話し込んだのは事実だが、肝心な事は伏せてあった。シャワーもボディソープを使わずに済ませて来た。嘘を吐く事は本意ではないが、最低限加々知が気が付かないように、と言う約束を守って、敢えてリリスと夜を共にして来た事には触れなかった。嘘も時には必要だと自分を納得させる。白澤はそう自分に言い聞かせながら散らかったコンロ台を片付けて洗い物を済ませると、加々知の為に小鍋に粥を煮始めた。せめて今日は目一杯甘やかせてやろう。贖罪にもならないであろうが、今の白澤に出来ることはそれ位だった。

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